虫歯や歯周病になってから
受診したのでは遅い!?
虫歯や歯周病は、自然治癒することはありません。虫歯は削って詰め物・被せ物で治療できますが、元の健康な状態に戻るわけではありません。また、歯周病になって痩せてしまった骨は、元に戻すことはできません。
もちろん、骨移植やインプラントなどで元の健康な状態に近付けることは可能ですが、元の状態とはやはり違います。
健康な状態を維持するために、病気にならないための徹底した予防が必要なのです。
虫歯・歯周病は早期発見が困難です
もし虫歯や歯周病に感染してしまった場合には、早い段階での治療が必要です。重症化させると抜歯のリスクが高くなりますし、再発のリスクも高まるためです。
しかし、虫歯や歯周病は初期症状がありません。自覚できる症状が現れる頃には、病気はある程度進行しています。
病気にならないため・予防のために、歯科を受診することが必要です。
予防歯科ではどんな治療をするの?
予防歯科では、虫歯や歯周病を防ぐためのクリーニング・歯石除去(PMTC)、セルフケアの効果を高めるためのブラッシング指導、効果的な予防を行うための唾液検査(サリバテスト)などを行います。
PMTC
PMTCとは、歯医者で行うプロフェッショナルクリーニングです。毎日歯磨きをしている人でも、磨き残しはありますし、歯ブラシでは除去できない汚れもあります。PMTCでは、普段のお手入れで除去できない汚れを徹底的に除去していきます。
プロの手によるクリーニングはココが違います!
専用の器具やフッ素が配合された研磨剤を用いて、歯面の汚れを徹底的に除去します。プラークはもちろん、着色汚れを除去して口の中を清潔にします。
また、歯石が付いている場合には、スケーラーという器具を使って除去します。
ブラッシング指導
「毎日歯磨きをしている」という人は多いですが、正しく磨けている人は少ないというのが実状です。虫歯・歯周病予防の基本はセルフケアですから、正しいブラッシングを身に付けることは大切なことです。
大人になってからブラッシングの指導を受けることを、「今さら」と思う方も少なくないでしょう。しかし、自己流の磨き方になっていたり、利き手と反対側を磨けていなかったり、適切に磨けていない人が多いです。
普段の歯の磨き方を見直すためにも、一度ブラッシング指導を受けてみることをお勧めします。
唾液検査(サリバテスト)
唾液検査とは、虫歯や歯周病のリスクを把握するための検査です。唾液の分泌量や唾液の質(緩衝能)、口の中の細菌の数などを調べます。
唾液には虫歯を防ぐ働きがありますが、中和する力が弱かったり、分泌量が不足していたりすると、虫歯になりやすくなってしまいます。虫歯になりやすい原因を「歯の質」と認識している人が少なくありませんが、さまざまな要因が関連していますので、さまざまな角度で虫歯予防を行うことが大切になるのです。
自分の口の中の状態に合った、効果的な虫歯予防を行うためにも、ご自身の口の中についてよく知ることが大切です。
口の中の健康は全身の健康に影響します
虫歯や歯周病になっても、「口の中だけの問題」と捉えてしまうかもしれません。しかし、口の中の健康は、全身の健康にも影響しているのです。
歯科医師会と厚生労働省が、「8020運動(はちまるにいまるうんどう)」を推進しています。20本というのは、自分の歯で不自由なく噛むために必要な本数ですが、80歳まで20本の歯を残すということは、口の中の健康だけでなく全身の健康、生活の質(QOL)向上のためにも必要です。
- 歯周病と全身疾患の関係
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歯周病の原因細菌が、全身疾患のリスクを高めることがわかっています。歯周病が、動脈硬化や心臓の病気、糖尿病など生命に関わる病気にも関連するのです。
特に糖尿病との関連は深く、歯周病は糖尿病の合併症の一つとして認識されるようになっています。糖尿病の人は歯周病にかかりやすく、歯周病になると糖尿病が悪化しやすいことがわかっています。
糖尿病と歯周病は双方に悪影響を及ぼすため、歯周病が進行すると糖尿病も重症化しやすく、その反対のことも起こります。
- 認知症との関係
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咀嚼能力が低下していると、認知症のリスクが高くなることがわかっています。認知機能と咀嚼力にも関係がありますが、多くの歯を失った場合に噛めない・うまく話せないといった理由で社会性(人間関係)に悪影響が及ぶことも、認知機能低下につながるとされています。